出張お片づけサービスやお片づけセミナーで起業

『部屋は心を映す鏡』が起業のヒントに

出張お片づけサービスやお片づけセミナー事業に取り組むビジューオーガナイズ株式会社。代表取締役の三谷直子氏は、苦手だった片づけを克服した自分の経験を生かしてサービスを立ち上げた。三谷氏が起業を考えたのは2010年の3月頃。この頃は断捨離をはじめとしたお片づけブームが到来する前だった。
「私自身、当時学んでいた心理学やコーチングの資格を生かして起業するつもりでした。ただ、もっとお客様が自分で変えることができて、目で見て変化がわかり、やろうと思った日に即アクションが起こせるようなジャンルはないかと探していました」

そんなある日、もともと片づけが苦手だった三谷氏が、一念発起して部屋の片づけに着手した時に頭をよぎったのが『部屋は心を映す鏡』という言葉。
「部屋の片づけなら、自分の目で見て手で触って変化が作り出せる。しかも部屋が心を映す鏡なら、部屋を片づけることで頭も心も片づくんじゃないかと考えました。加えて、片づけられない人を片づけられるようにするアドバイスには、コーチングや心理的な手法が役立つ。これをビジネスにして起業できるんじゃないかとひらめいたんです」

もちろん、起業までの道のりは並大抵のものではなかった。
「需要の有無はもちろん価格やサービス内容を決める知識や経験すらなく、無料モニターを繰り返しながら内容を固めていきました。整理収納アドバイザー2級の資格取得以降は有料化し、2～3年掛けて現在のサービスや価格体系を構築しました」

チームでサービスを提供するプロ意識が重要

お片づけサービスで起業した三谷氏が、法人化を考えたのは2つの理由があったという。
「ひとつ目はスタッフが増え、きちんと会社としてスタッフを背負わねばならないと感じたことです。ふたつ目は、大手不動産会社などとコラボする機会が増え、先方が大企業であればあるほど法人化した方が取引しやすいと感じたことからです」

そこで、女性起業家交流会「わくらく」の代表・三根早苗氏に法人化の相談をしたところ、会社設立サポート企業としてFirstStepを含む2社を紹介してもらった。
「実は、費用的にはFirstStepの方が価格は高かったんですよ。それでも選んだのはセミナールームが利用できることと、話をする中で未来思考の姿勢を感じ、それが将来の事業に良い影響を与えてくれるかも、と感じたんです」

ビジネスに取り組む上で大切にしているのは『チームでお客様にトータルサービスを提供する意識』だという。
「お片づけサービスは、片付けや収納の知識に加え、インテリアや建築、カラー、コミュニケーションなどの知識が求められます。各スタッフが自分の専門分野や得意分野を生かしながらお互いをサポートしあい、チームで最高のトータルサービスを提供していく意識が必要。同時に、自分が何のために仕事をしていて、何を生かしてお客様にどうなって欲しいのかを常に考えるプロ意識を持たねばなりません」

やりたいことがあるなら、早く起業して早く失敗することが大事

整理収納アドバイザーがお片づけサービス専業で事業に取り組む会社は、日本国内でも数少ないと語る三谷氏に、これから起業しようとする人へのアドバイスをうかがった。
「何のために起業したいのかが大事だと思います。どうしても起業してやりたいことがある人は、早めに起業して早めに失敗を経験した方が良い。早めにコケた方が立ち直りも早いですから。私もそうでしたよ（笑）。最初から全部成功させようとすると、失敗した時の痛みも大きくなる。最初は何事もうまくいかないものだと思って始めるぐらいがちょうど良いと思います」

最後に、今後の展開について話をうかがった。
「不動産会社やリフォーム＆リノベーションに取り組む企業とコラボレーションしたい。これらの業種は、お客様とのビジネスプロセスの中で必ずお片づけが発生します。私たちとコラボすることで、付加価値創造や差別化ポイントにしてもらえれば。今後は、こうしたＢtoＢtoＣのビジネスモデルを作っていきたいですね」