大阪市西区の靱公園のほど近くにあるカフェバー『AGITO SPACE』。運営するのはAGITO合同会社の代表、神田智広氏。実は、関西のITやモノづくりを通じたスタートアップや出会いを生み出すコミュニケーション・プラットフォーム『IT is KANSAI(イッツカンサイ)』の立ち上げメンバーのひとりでもある。
「もともとは大阪出身なのですが、東京在住中に『IT is KANSAI』を立ち上げました。その当時から人と人がつながるリアルな空間を持ちたくて。ただ、その空間がオフィスか、コワーキングスペースか……どんなスタイルなのかは決めていなかった。そんな時、飲食店という形でリアルな空間が持てるチャンスがあり、『AGITO SPACE』のオープンに至りました」
「『AGITO SPACE』を自分やお客さんの実験場にしたい」と語る神田氏。飲食店という形態は、“人と人をつなげる”ことをビジネス化する実験のひとつだそう。
「『IT is KANSAI』を開催しつつ、人と人、人と企業、企業と企業をつなげてきましたが、その対価はほぼゼロ。でも、直接的に紹介料が発生することに違和感を感じる人もいるでしょう。そもそも大阪は形の無いものにお金を払うことを受け入れませんし。でも、それは逆に形があれば払うということ。ならば飲食代という『形』を対価にしてみよう、と。飲食代=相談料や情報料のイメージです」
FirstStepでの会社設立は、1回目の『IT is KANSAI』の諸々に協力してもらうなど、さまざまな縁がつながる中では当然の流れだった。
「大変お世話になっていたこともありますし、スタートアップに関する圧倒的な情報量をもっていることも大きな理由です。合同会社を選択したのも、費用面の違いや後で株式会社に改組できるというアドバイスをもらって決めました」
人と人をつなげる上で大切にしているのは、『面白いか面白くないか、それがすべて』と神田氏。
「私自身がワクワクして面白いと感じるなら喜んでやるし、ただ儲かるだけならやらない。だから、『IT is KANSAI』の登壇者も面白いと思う人、興味がある人しか選びません。常に自分の感性だけを信じるように意識しています」