代表取締役 古川 多夢
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会社名 株式会社久宝金属製作所
住所 〒536-0004 大阪市城東区今福西5-2-25
電話番号 06-6978-4710
代表者名 古川 多夢
設立 1977年11月
従業員数 11人
事業内容
・3Dプリンターなど、自社ブランド製品の企画・製造・販売
・各種金属素材の販売
・小ロット、一点もの対応、オーダーメイドサービス 
・建築金物製造販売

理念でつながる自社製品たち

金属板の卸売や小ロットの金属加工のほか、自社ブランドの飾り棚やインテリア棚受、3Dプリンターの企画、製造、販売などを行う株式会社久宝金属製作所。4代目となる代表取締役の古川多夢(たむ)氏によると、これほど小さな会社が、自社ブランドを完全自社運営しているのは珍しいという。
「自社ブランド製品は、企画、開発、製造、販売、アフターサービスまで、すべて自社で行っています。また、棚受のほか、3Dプリンター、木製家具、非電化籾すり機、ペットボトル潰し機など、まったく関連性がなさそうな商品なのも珍しいのではないでしょうか(笑)」

だが、実はすべてが「理念」という1本の柱で貫かれている、と古川氏。
「根底に、『工夫で人の営みや生業を楽しくするお手伝いをする。』という理念があります。当社は金属加工の会社でも、3Dプリンターの会社でもありません。すべての事業が『人の営みや生業を楽しくする』という点でつながっているのです」

『お手伝い』という表現は、製品のほとんどが お客様が使うことで初めて完成と言える製品だから。
「当社の製品は、使おうと思ったらお客様自身が動かないといけないものばかり(笑)。飾り棚も、飾りたいものと場所を決めて、ネジとプラグで壁に取り付けて、上に物を飾ってやっとインテリアとして完成、と言うように。 営みや生業って、便利になりすぎると自分が主役じゃなくなってしまう。便利になればなるほど良いわけじゃない。登山好きな人が、便利だからとヘリコプターで頂上まで行くことはありませんよね。使う人が主役という点は守りつつ、できないことをできるように『お手伝い』するのが当社の製品です」

「絶対に欲しい」と思うものを作れたら、それは絶対に売れる

中央会計との出会いは、先代社長が中央会計のセミナーを受けた時にさかのぼる。そのセミナーの分かりやすさに感銘を受け、先代社長がどうしても中央会計に久宝金属製作所の会計面を任せたいと考えたそうだ。現在の中央会計のサポートに関する感想をいただいた。
「話が常に明確で、私たちの視点に立ってアドバイスをくれる。経営のアドバイスをしてくれる人って、自分が持っている過去の正解にクライアントを当てはめようとするのですが、中央会計さんは違う。だから信頼しています」

現在は、社長自らが開発した3Dプリンターを展開するプロジェクトを進める古川氏。ビジネスに取り組む中で大切にしているのは、やはり会社の理念だ。
「『工夫で人の営みや生業をお手伝いして楽しくする』という理念を実現するためには、世の中に無いものを生み出す必要がある。ただ、大ヒットさせる必要はなくて、ごく一部の人でいいから『ものすごく良い、絶対に欲しい』と思う製品を作ろうと意識しています」

多くの人に認められ、大ヒットするのも素晴らしいことだと思います。でも、一過性になったり、コピー品との戦いに明け暮れたりで、理念から離れてしまっては本末転倒、必要ではないですね、と笑う古川氏が続ける。
「今までにない、絶対に欲しいと思ってもらえる製品を作るには、ただただあきらめないことが大切。壁にぶつかってももうひと工夫と思いなおして乗り越える、そこに尽きます」

自社製品の多くは、「こういうものがあれば絶対に買うのに」という言葉や想いを頂いて生まれた製品ばかり。先にビジネスモデルを構築し、小さくてもよいから需要と市場をつくってそこにお届けするなら百発百中。
「3Dプリンターも自分が市販品に満足できず、『もっと精度が高い製品が欲しい』と思い開発を始めました。試作品を見て『これを売るなら絶対買う』という人が確実に居ることを確認したから開発を頑張れたし、自信をもって仕様を決め、量産に踏み切れました」

起業は手段。「何のために起業するか」が重要

古川氏は起業するなら「何のために起業するのかが重要」だと語る。
「起業はあくまで手段。私が今3Dプリンターの事業に必死になれるのは、『やりたいこと』と『できること』と「やっていること」がぴったり重なっているから。 『何のために起業という手段を使うのか?』に対する答え=動機 が明確じゃないなら起業してからブレるし踏ん張りも聞かない。稼ぎたいだけなら、ものづくりよりリスクの低い方法がありますしね」

最後に今後の展開を尋ねると「最低限の目標は、会社も個人も幸せに生き残っていくこと」と古川氏。
「ロボットやAIの台頭など便利さの進化とグローバル化、この二つの嵐からは逃げられない。でも、人間が生きている限り営みや生業はなくならないはず。 例えば世界中が恐慌の嵐にあっても自給自足できるなら怖くはない、自給自足は大げさとしても、家族や親せき、地域など小さな範囲に良い循環を作ることで、幸せを感じながら生きていけるんじゃないかと思っています」

人は幸せのために生きている、と古川氏。
「今までの幸せのモデルは、働いて、お金を稼いで、商品やサービスに消費することでした。でも、これからは働いて稼ぐことがさらに難しくなり、商品やサービスも飽和して売れないし買わない。稼ぐことも、消費で幸せを得ることも難しくなっていくでしょう。でも悲観する必要はなくて、人は自分や好きな人の幸せのために直接動くようになる。近年のDIY、手作りブームや、メーカーズムーブメントはその始まり、幸せのために働く時代がもうすぐそこまで来ているということ。時代が変わっても『工夫で人の営みや生業をお手伝いして楽しくする』製品やサービスを続けていきたいですね」

担当者より

久宝金属製作所さまを担当させていただいて13年目を迎えました。商品を通して「暮らしにワクワクを」お客様へ届けたいという想いは出会った当時とまったく変わっておられません。今では決して起業のリスクが低くないモノづくり(製造業)ですが、創業70年の想いと重ねてきた歴史が会社を支えているのだと感じます。これからも精一杯サポートさせていただきます。(梛野 季之)