imagesこんにちは。FirstStepの澤田です。
今回は、起業する時によくご質問いただく「事業目的」についてお話しさせていただきます。

事業目的とは、会社設立の際につくる定款に必ず書かなければならない「絶対的記載事項」です。
しかし、お客様から「どーやって書いたらいいの?」「この内容は書いて大丈夫なの?」と、多くの質問をいただきます。そのような問題を解決するため、事業目的を4つの側面から作り上げてみましょう!!

 

事業目的を決める側面とは?

  1. 法務局・公証役場からの側面
  2. 外部に与えるイメージからの側面
  3. 資金調達からの側面
  4. 許認可からの側面
  5. 事業目的の決め方まとめ

 

1 法務局・公証役場からの側面って

会社設立を考えているお客様に、

「この事業目的で法務局・公証役場を通すことができますか?」とご質問いただくことがあります。

この場合、「事業目的には、営利性、適法性、具体性、明確性という要件を備えていれば大丈夫です」とお答えすることはできますが、なんか漢字ばっかりで、難しいですよね。。。

この難しい「事業目的」をわかりやすく説明させていただきます!

そもそも、事業目的には営利性が必要です。「営利性」とは、その事業が利益を上げることを目的としているか、ということです。

会社は利益を追求する組織であり出資者(株主)に、より多くの配当を目指す義務があるので、その目的は当然、営利性がなくてはなりません。

 また、事業目的には適法性が必要です。「ボランティア」や「寄付・献金」などの非営利事業や、「詐欺の請負」や「麻薬の売買」など違法・または違法性を感じさせる事業目的では登記できません!

このように、まず、法務局・公証役場からの側面から事業目的を考えておくと、次に述べる「外部に与えるイメージからの側面」にもつながり、難しいと思われがちな「事業目的」が段々と形になっていきますよ!!

 

2 外部に与えるイメージからの側面って?

次に、外部からのイメージを良くするために、事業目的は具体性を持つことが必要かと思います。

具体性について、新会社法が施行されるまでは、どんな目的でも登記できるわけでもなく、事業目的に使える文言が厳しく制限されていました。

 しかし、最近は規制の撤廃に伴って、そこまでの具体性には問われない傾向になってます。

※特徴的な事業目的の例をあげると、「その他商業全般」という会社もあります

 しかし、上記のような、ひろ―い意味の事業目的を掲げると、会社の事業目的は、登記簿で誰でも見ることができるので、「この会社は何をやってるの?」と思われるかもしれません。この場合、外部に与えるイメージが悪く、取引先などに不利な印象を与えるかもしれないのでご注意ください。

また、お客様からのよくあるご質問の中に、「将来やろうとしている目的も入れてもいいですか?」というものがあります。

答えは、入れても大丈夫です!

最初は行わない事業内容であっても、将来的にする可能性があるのであれば、設立時の段階で記載することで、後に定款変更をする必要がなくなります。

(登記後に事業目的を追加する場合は、別途登録免許税が3万円必要です。)

さらに、もうひとつのポイントとしては、事業目的をこまごまと書きすぎずに、主な事業2〜3つ+将来の主な展開2〜3つ+附帯関連事業にまとめたほうがスッキリするとおもいます。こうすることによって、外部からのイメージが良くなるのではないでしょうか。

 

3 資金調達からの側面って?

 事業目的は登記簿で誰でもみることができるので明確であるほうがいいです。
たとえば、「飲食店の経営」と「パソコン周辺機器の販売」の2つには関連がありませんが、両方を事業目的に書いても大丈夫です。

ただし、会社の事業目的は登記簿で誰でも見ることができるので、あまり関連のない事業目的が並んでいると「一体この会社は何がしたいんだろう?」と思われかねません。

このような場合、資金調達の側面から考えると厳しい目で見られるかもしれません。目的を設定する時に将来をしっかりと見据える、という意味においても、明確な事業目的は必要です。

つまり、関連性のない事業目的を多く書きすぎたり、明確性が欠けているような事業内容であるなら、銀行での口座開設や融資の際に、「この事業は実態があるのか?」と細かく尋ねられて困ることがあります。実態として各事業が行われていれば関連性がなくても問題はありません。

 

4 許認可からの側面って?

 許認可が必要な事業については、事業目的が抽象的な表現で記載されている場合、許認可が取れない場合があるので注意してください。

例えば、人材派遣業ならば、

「一般労働者派遣事業」や「特定労働者派遣事業」

中古販売ならば、

「古物の売買」や「古物商」

といった記載になります。
他にもまだまだありますので、許認可をとることを考えられているならば確認しておいたほうがいいでしょう。

 

事業目的の決め方のまとめ

これら4つのポイントをおさえた事業目的でも、最終的に判断するのは、法務局にいる登記官です。

ここで蹴られてしまうと、せっかく公証人の認証を受けた定款もやり直しということになってしまうので、事業目的が決まったら、一度、法務局の相談窓口で確認すると良いかもしれません。

会社の核である、「事業目的」。少しでもお分かりいただけたでしょうか。

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