こんにちは!FirstStepの阪本です。

法律の改正があり、外国人の方の会社設立の要件が緩和されました。
グローバル化がすすみ、起業支援を行っている弊社でも海外からのお問い合わせや外国関係の会社設立の案件が増えております。

今回はそういった海外居住者の会社設立について注意点を交えながら、改正内容(経営・管理ビザ、代表者住所要件)についてご紹介させて頂きます。

  1. 外国人(海外の法人)の会社設立の様々なケース
  2. 必要書類と取得方法
  3. ビザについて
  4. 外国人が日本で起業しやすくなる!?
  5. 外国人が日本で起業しやすくなる!まとめ

外国人起業

 

 1. 外国人(海外の法人)の会社設立の様々なケース

外国人(海外の法人)の会社設立といっても、様々なケースがあります。

例えば、取締役が外国人の場合や発起人が外国人の場合、または両名とも外国人の場合や発起人が外国法人の場合などがあります。

  1. 発起人:日本人又は日本法人 取締役:外国人
  2. 発起人:外国人又は外国法人 取締役:日本人
  3. 発起人:外国人又は外国法人 取締役:外国人

合同会社の場合は原則的には出資者=社員(社員とは、株式会社で言うところの取締役)となります。

発起人が外国人又は外国法人の場合

注意点!
会社設立の手続きのひとつにおいて、資本金を発起人の代表の口座へ入金しなければいけません。
その際に認められる金融機関は銀行法に規定する銀行である必要があります。(海外の金融機関の日本支店等は認められていない事がありますのでご注意下さい。)

日本の金融機関の海外支店の口座は使用可能です。
ただし、口座が日本円以外の外貨建ての場合は、レートの証明が必要となります。
日本の銀行口座を持っていない場合には、

  1. 発起人が複数いる場合で代表発起人が日本の口座を持っている場合は、代表発起人の口座を使用すれば問題ございません。
  2. 発起人が誰も日本の口座がない場合、代表取締役が有効な金融機関を持っている場合は、資本金受領に関する権限をその代表取締役に委任する事で解決できます。

日本の銀行口座を開設するには、外国人登録をしている必要がある等の条件がございますので少しハードルが上がります。

 

2. 必要書類と取得方法

会社設立にあたって作成する書類や用意する資料がいくつかあります。

まずは、通常必要になる一般的な書類を挙げさせて頂きます。

  • 登記申請書
  • 定款
  • 本店所在場所決議書(合同会社の場合は代表社員、本店所在地及び資本金決定書)
  • 就任承諾書
  • 印鑑(改印)届書
  • 資本金の払込証明書
  • 発起人の印鑑登録証明書
  • (発起人が法人の場合は)履歴事項全部証明書と代表印の印鑑証明書
  • 取締役の印鑑登録証明書

そして、外国人(海外の法人)は下記の資料が一般に必要となります。

  • 登記申請書
  • 定款
  • 本店所在場所決議書(合同会社の場合は代表社員、本店所在地及び資本金決定書)
  • 就任承諾書
  • 印鑑(改印)届書
  • 資本金の払込証明書
  • 発起人のサイン証明書と訳文
  • (発起人が外国法人の場合は)宣誓供述書及び外国法人代表者のサイン証明書とそれぞれの訳文
  • 取締役のサイン証明書と訳文

必要書類の違いをまとめると、

  • 発起人や取締役が海外居住者の場合:印鑑登録証明書の代わりにサイン証明書。
  • 法人発起人が外国法人の場合:履歴事項全部証明書の代わりに宣誓供述書、代表者の印鑑証明書の代わりにサイン証明書。

各種資料については下記の通りです。

  • 印鑑証明制度がある国については、サイン証明書ではなく、その国の印鑑登録証明書と訳文でも大丈夫です。
  • 訳文作成については、必ずしも翻訳の有資格者である必要はございません。
  • 印鑑登録証明書、履歴事項全部証明書、サイン証明書及び宣誓供述書は発行日が会社設立日より3ヶ月以内である必要があります。
  • 英語では、サイン証明書はSigning Certificate、宣誓供述書はAffidavitと言います。
  • サイン証明書や宣誓供述書は日本にある各国大使館当該国の公証役場で作成が出来ます。

3. ビザについて

外国人が日本国内企業で経営・管理活動を行う為には「経営・管理ビザ」が必要となります。
経営・管理ビザの基本的な取得要件は下記の通りです。

  • 日本国内に事業所が存在する事(事業開始前の場合は事業所として使用する施設が確保されている事)
  • 事業の規模が下記のどれかに該当する事
    1. 経営者以外で常勤の日本居住者2名以上の人材が従事する
    2. 資本金額500万円以上
    3. 上記、2点に準ずる事業規模である
  • 3年以上の経営又は管理の経験が有り、日本人役員が受ける報酬額と同等以上の報酬を受ける事

なお、活動に制限の無い在留資格(例:日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・永住者)をお持ちの場合は経営・管理ビザは不要です。
日本国籍を有しない者で下記の在留資格を持っていない者が、役員等に就任して”日本に入国”し経営活動を行う場合には経営・管理ビザの取得が必要となります。

活動に制限の無い在留資格一覧

  • 永住者
  • 日本人の配偶者
  • 永住者の配偶者
  • 定住者

4. 外国人が起業しやすくなる!?

以前までは外国人取締役等が日本で活動するには、活動に制限の無い在留資格の保有者以外は、「投資・経営ビザ」が必要でした。
しかし、この「投資・経営ビザ」は法人の設立登記後にしか申請する事が出来ませんでした。これでは、「会社を作ったけどビザの取得ができなかったので活動できませんでした」、というムダが生じる可能性がありました。

また、代表者(のうち1人)は日本国内の住所を有する者である必要がありました。日本に住所を有しない外国人だけでは設立登記ができなかったのです。
この2点について改正が行われています。

ビザの種類が「投資・経営ビザ」から「経営・管理ビザ」へ

“「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律」(平成26年法律第74号) 平成26年6月18日公布”
2015年4月1日より適用される内容になります。

この度の改正では、必要なビザは「投資・経営ビザ」から「経営・管理ビザ」に変わりました。
またビザの申請要件も変わったことで、「経営・管理ビザ」は定款作成後、つまり法人の設立登記前の段階で申請する事が可能になりました。

また、「経営・管理ビザ」を保有していると日本での銀行口座開設の申し込みが可能になります。
法人設立の手続きとして、法務局へ登記手続きをする前に資本金の払込みを発起人の個人口座へ行う必要があります。
発起人が日本の口座を持っていない場合は、新たに日本で口座を開設する必要があったのですが、短期滞在者では在留カードが発行されず、銀行口座開設自体が難しい状況でした。

一方、経営・管理ビザでは在留カードが発行され、銀行口座開設の申込が可能となります。

「経営・管理ビザ」の取得更新の流れは、下記のようになります。

  1. 定款作成後に申請を行い在留期限4ヶ月の経営・管理ビザを取得し設立登記手続きを行う
  2. 設立登記後に保有している経営管理ビザの在留期限を1年に更新する

注意点として、定款を作成したがビザが取得できなかった、取得はでき、会社の設立も行ったけどビザが更新出来なかった(在留期限4ヶ月のまま)という事も起こります。
ビザの取得(更新)には入国管理局の審査が必要となりますので、ムダな時間とお金を使わないためにもビザに関しては弁護士等に相談するなど事前準備しておきましょう。

 

代表者が国内住所を持っていなくても登記が可能になりました!

“昭和59年9月26日民四第4974号民事局第四課長回答及び昭和60年3月11日民四第1480号民事局第四課長回答の取扱いを廃止”
2015年3月16日より適用される内容となります。

法務省にて「代表者(のうち1人)は日本国内の住所を有する者である必要がある」という取扱が廃止になりました。
これからは、代表者が日本に住所を持っていない方のみでも 登記申請が行えるようになりました。

また、2015年2月27日から適用される“役員の登記(取締役・監査役の就任,代表取締役の辞任)添付書面の改正”では本人確認書類として、“登記の申請書に当該取締役等の印鑑証明書を添付する場合を除いて,取締役等の「本人確認証明書」の添付が必要となります。”となっております。
(本人確認書類の例としては運転免許証等のコピーなどになります。)

印鑑登録証明書が無い外国人取締役の場合は、サイン証明書が印鑑証明書の変わりとなりますので、運転免許証等を持っていなくても大丈夫です。
※サイン証明書は住所が記載している物をご用意下さい。

 

5.外国人が日本で起業しやすくなる!まとめ

  • 発起人や取締役の構成によっては、銀行口座の有無・ビザ取得等、設立までのハードルが高くなるケースがございます。
  • サイン証明書や宣誓供述書など通常とは異なる資料の準備が必要です。取り寄せに時間がかかる場合は設立スケジュールには余裕を持ちましょう。
  • 「経営・管理ビザ」を取得しなければならない場合はビザの取得が行えるのか事前に確認しておきましょう。