6-1 中小企業の会計に関する指針とは?
6-2 金銭債権と貸倒れの要点
6-3 有価証券と棚卸資産の要点
6-4 経過勘定等の要点
6-5 固定資産と繰延資産の要点
6-6 金銭債務と引当金の要点
6-7 税金と税効果会計の要点
6-8 会計指針の要点〜純資産の部
6-9 会計指針の要点〜収益・費用の計上
6-10 会計指針の要点〜その他特殊項目
1   固定資産

要点
  固定資産の減価償却は、経営状況により任意に行うことなく、定率法、定額法その他の方法に従い、毎期継続して規則的な償却を行う。ただし、法人税法の規定による償却限度額をもって償却額とすることができる。
  圧縮記帳は、その他利益剰余金の区分における積立て及び取崩しにより行う。ただし、国庫補助金、工事負担金等で取得した資産並びに交換、収用等及び特定の資産の買換えで交換に準ずると認められるものにより取得した資産については、直接減額方式によることができる。
  予測できなかった著しい資産価値の下落があった際には、減損額を控除しなければならない。なお、当該減損額は、減損損失として損益計算書の特別損失に計上する。
  ゴルフ会員権は取得原価で評価する。ただし、時価があるものについて時価が著しく下落した場合又は時価がないものについて発行会社の財政状態が著しく悪化した場合には、減損処理を行う。
  ゴルフ会員権は取得原価で評価する。ただし、時価があるものについて時価が著しく下落した場合又は時価がないものについて発行会社の財政状態が著しく悪化した場合には、減損処理を行う。

(1)固定資産の取得価額
有形固定資産及び無形固定資産の取得価額は、次のとおりとする。
@  原 則
固定資産の取得価額は、購入代価等に、買入手数料、運送費、引取運賃、据付費、試運転費等の付随費用を加えた金額とする。
A  少額の付随費用
付随費用が少額である場合は、取得価額に算入しないことができる。
B  少額の減価償却資産
減価償却資産のうち取得価額が少額のものについては、その取得した事業年度において費用処理することができる。
 
(2)固定資産の減価償却
有形固定資産の減価償却の方法は、定率法、定額法その他の方法に従い、毎期継続して適用し、みだりに変更してはならない。なお、減価償却は、固定資産を事業の用に供したときから開始する。
減価償却における耐用年数や残存価額は、その資産の性質、用途、使用状況等に応じて合理的に決定しなければならない。ただし、法人税法上の耐用年数を用いて計算した償却限度額を減価償却費として計上することも認められる。
 
(3)ソフトウェア
研究開発に該当するソフトウェアの制作費は研究開発費として費用処理する。
研究開発に該当しないソフトウェアの制作費は、次のように会計処理する。
@  社内利用のソフトウェアは、その利用により将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる場合には、取得に要した費用を無形固定資産として計上する。
 
(4)ゴルフ会員権
@  ゴルフ会員権の評価
ゴルフ会員権は、取得原価で評価する。ただし、ゴルフ会員権の計上額の重要性が高い場合で、以下の要件に該当するときは、減損処理を行う。
(イ) 時価があるゴルフ会員権・・・時価が著しく下落したとき
(ロ) 時価のないゴルフ会員権・・・発行会社の財政状態が著しく悪化したとき
A  預託保証金方式によるゴルフ会員権を減損する場合の会計処理
預託保証金方式によるゴルフ会員権の時価が著しく下落したことにより減損処理する場合には、帳簿価額のうち預託保証金を上回る金額について、まず直接評価損を計上し、さらに時価が預託保証金の額を下回る場合には、当該部分を債権の評価勘定として貸倒引当金を設定する。ただし、預託保証金の回収が困難な場合には、貸倒引当金を設定せずにゴルフ会員権から直接控除することができる。


2   繰延資産

要点
  創立費、開業費、開発費、株式交付費、社債発行費、新株予約権発行費は、原則として費用処理する。なお、これらの項目については繰延資産として資産に計上することができる。
  費用として処理しなかった税法固有の繰延資産は、長期前払費用等として計上する。

(1)繰延資産の定義
繰延資産とは、既に代価の支払が完了し又は支払義務が確定し、これに対応する役務の提供を受けたにもかかわらず、その効果が将来にわたって発現するものと期待される費用を資産として繰り延べたものをいう。
 
(2)繰延資産の範囲
@  創立費、開業費、研究費及び開発費、株式交付費、社債発行費、新株予約権発行費が繰延資産に該当する。
A  法人が支出する次に掲げる費用(資産の取得に要した金額及び前払費用を除く。)のうち支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶものは、税法固有の繰延資産に該当する。
(イ)  自己が便益を受ける公共的施設又は共同的施設の設置又は改良のために支出する費用
(ロ)  資産を賃借し又は使用するために支出する権利金、立退料その他の費用
(ハ)  役務の提供を受けるために支出する権利金その他の費用
(ニ)  製品等の広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用
(ホ)  @からCまでに掲げる費用のほか、自己が便益を受けるために支出する費用
 
(3)償却額・償却期間
繰延資産として資産に計上したものについては、その支出又は発生の効果が発現するものと期待される期限内に原則として月割計算により相当の償却をしなければならない。
償却期間は、創立費は会社成立後、開業費は開業後、開発費はその支出後、それぞれ5年内、株式交付費及び新株予約権発行費はそれぞれの発行後3年内、社債発行差金は社債償還の期限内とする。
税法固有の繰延資産については、法人税法上、償却限度額の規定があることに留意する必要がある。また、金額が少額のものは、発生時において費用処理する。
 
(4)表 示
費用として処理しなかった繰延資産の未償却残高及び繰延資産の償却額の表示は、次のとおりとする。
@  貸借対照表に繰延資産の部を設け、項目を示して表示する。この場合において、各繰延資産に対する償却累計額は、その各繰延資産の金額から直接控除し、その控除残高を各繰延資産の金額として表示する。
A  税法固有の繰延資産は、「投資その他の資産」に長期前払費用等の適当な項目を付して表示する。
B  損益計算書において、繰延資産の償却額が営業収益との対応関係がある場合には販売費及び一般管理費に、対応関係がない場合には営業外費用に表示する。
C  繰延資産の一時償却額は、原則として特別損失に表示する。
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