起業した方は以前に営業をしていたり、商品開発をされていたり、経理をやっていなかった方も経理の方を雇わない限りはご自身で経理業務の全てを行わなくてはなりません。面倒と感じる方も多いですが避けては通れない道です。
今回は領収書とかってどうしたらいいの?いつの分まで保存しておいたらいいのって思う経理初心者の方向けに、どのように保存・整理していったらいいのかを書かせていただきます。

〔目次〕

  • なんで資料整理が必要なの?
  • 資料の整理方法
  • よくある質問
  • 参考資料

 

なんで資料整理が必要なの?

経理業務の中で一番の基本で重要なことは、資料整理をきちんとすることです。資料整理ができていなければ、正確な損益の把握はできません。
高額な領収書を一枚紛失し、それに気づかずに数字を把握してしまうと、実際は利益が出ていないのに、帳簿上は利益が出ていることになってしまいかねません。
また、過去の取引を見直す際にも、資料整理ができていなければ非常に時間がかかってしまい、時間を無駄に使うことになります。

さらに、税務調査の際には、必ず原始記録(領収書等)の確認をされます。その際に調査官に与える印象も、資料整理がきっちり出来ている会社とそうでない会社とでは変わってきます。

創業当初から、きっちりと資料を整理していきましょう。

 

資料の整理方法

資料整理をはじめるにあたって用意しておいほうがいいもの、それに合わせてどのように資料整理を行っていくかを紹介させていただきます。

 ◇必要なもの

  • スクラップブック
  • ファイル大・中・小
  • インデックスシール
  • スティックのり

ブログ画像その1ファイル一式

 ◇保存していくもの  
  ※どの会社にも存在するであろう資料は赤文字で記載しております。

 ファイル名 保存書類
スクラップブック  領収書
 ファイル大 請求書(控) 得意先に提出した売上の請求書の自社控え
 ファイル大 請求書 仕入先等から届いた支払の請求書
 ファイル大 給与関係 賃金台帳、扶養控除申告書、源泉徴収簿など
 ファイル中 労務関係 社会保険、労災保険、雇用保険関係の書類
例)標準報酬決定(改定)通知書、雇用保険被保険者資格喪失届
 ファイル中 法務関係 契約書、議事録の書類
 ファイル中 税金関係 官公庁提出の書類
例)税務署などへの届出、償却資産税の申告書(市町村)
 ファイル小 納付書 税務署や市役所に税金を払ったときの納付書
例)法人税の納付書、源泉所得税の納付書
 ファイル小 クレジットカード カードで支払いをしたときの領収書
(※現金で支払った場合の領収書はスクラップブック)
 ファイル小 現金出納帳 現金出納帳

 

(1)領収書の整理

 ◇必要なもの
  スクラップブック、インデックス(付箋)、スティックのり
ブログ画像その3
 ◇ 整理方法
       1.スクラップブックにインデックス(付箋)を張る。
   ※全ての資料は、事業年度ごとで保存するので、
    1事業年度で1冊のスクラップブックを使い切るように貼ってください。

  2.スクラップブックの中央に糊を塗る。
   ※のりは、領収書に1枚1枚塗るのではなく、スクラップブックに直接塗ってください。

  3.領収書をスクラップブックの下から順に重ねて貼る。
   ※日付の古い領収書が下、新しい領収書が上になります
   ※領収書同士の間隔は5ミリほどずらして貼ります

(2)売上の領収書(控)の整理

 ◇必要なもの
  ファイル大(請求書(控)ファイル)、インデックス、パンチ

 ◇整理方法
  1.売上の請求書(控)にパンチで穴を開ける。

  2.月別にファイルに綴じる。
   ※売上の請求書(控)は、月別にわけます
   ※得意先別にファイルを分けると、見直しに時間がかかります
   ※インデックスで月別に仕切っておくと便利です
   ※売上の請求書(控)は、1事業年度が終わったら1事業年度分をまとめて紐で綴じて保存

(3)支払の請求書の整理

 ◇必要なもの
  ファイル大(請求書ファイル)、インデックス、パンチ

 ◇整理方法
  1.支払の請求書にパンチで穴を開ける。
  2.月別にパイプ式ファイルに綴じる。
   ※請求書は、月別に!
    仕入先別にファイルを分けると、見直しに時間がかかります。
   ※インデックスで月別に仕切っておくと便利です
   ※請求書の枚数がたくさんあって、1冊で管理できない場合は、「仕入・外注用」「経費用」で2冊に分けます
   ※請求書は、1事業年度が終わったら1事業年度分をまとめて紐で綴じて保存

(4)給与関係の書類の整理

 ◇必要なもの
  ファイル大(給与ファイル)、インデックス、パンチ

 ◇整理方法
  1.従業員ごとに「扶養控除申告書」「賃金台帳」「源泉徴収簿」を作成、パンチ穴を開ける。
  2.「扶養控除申告書」「賃金台帳」「源泉徴収簿」をインデックスで区分して綴じます。
    ※給与計算ソフトを入れている場合は、ソフトから書類を印刷することができます

(5)労務関係(社会保険・労災保険・雇用保険)の書類の整理

 ◇必要なもの
  ファイル中(労務関係ファイル)、パンチ

 ◇整理方法
  1.社会保険事務所等から送られてきた書類にパンチで穴を開ける。
  2.「社会保険」「労災保険」「雇用保険」ごとにインデックスで書類を分け、それぞれ送られてきた順番で綴じる。
   ※社会保険関係の書類は種類も多く、あまり見返すこともないため送られてきた順に綴じます
   ※新しく送られてきた書類が一番上になるように

(6)法務関係(契約書・議事録)の書類の整理

 ◇必要なもの
   ファイル中(法務関係ファイル)、クリアポケット、パンチ

 ◇整理方法
  1.契約した際に、契約書をクリアポケットに入れて整理する。
  2.議事録を作成したら、パンチで穴を開けてリングファイルに綴じます。
   ※契約書以外に付属書類がある場合には、契約書と同じクリアポケットにいれて整理
   ※議事録は日付順に綴じます。一番上が、一番新しい日付の議事録になります

(7)官公庁(税務署や都道府県)への提出書類の整理

 ◇必要なもの
  ファイル中(税金関係ファイル)、パンチ

 ◇整理方法
  1.税務署や税理士事務所から送られてきた書類にパンチで穴を開ける。
  2.書類を送られてきた順番で綴じる。
   ※税金の納付書は、お金を借りる場合に必要になるので、別のファイルで整理してください。

(8)税金の納付書の整理

 ◇必要なもの
  ファイル小(納付書ファイル)、パンチ

 ◇整理方法
  1.税務署や市役所に税金を払ったら、納付書にパンチで穴を開ける。
  2.納付した順にファイルに綴じる。
   ※税金の納付書は、借入を行う際などに必要になります
   いつでも取り出せるように、このファイルで保存しておきます

(9)クレジットカード明細の整理

 ◇必要なもの
  ファイル小(クレジットカードファイル)、パンチ

 ◇整理方法
  1.カード会社から送られてきた明細の裏に、明細に対応するカードの領収証をのりで貼ります。
   ※通常の領収書を貼る要領で、カード明細の裏に先に糊を塗って貼ってください。
    →貼り方は(1)領収証の整理を参照してください
   ※カードを使用した際の領収書は別途保存し、捨てずにカード明細の裏に貼ってください!
     税務調査などで、確認される場合があります。
  2.カード明細にパンチ穴を開けます。 
  3.カード明細をファイルに綴じます。

(10)現金出納帳の整理

 ◇必要なもの
  ファイル小(現金出納帳ファイル)、パンチ

 ◇整理方法
  1.現金出納等にパンチで穴を開ける。
  2.月別にフラットファイルに綴じる。
   ※月別に綴じていき、一番上が一番新しい月の現金出納帳となります
   ※1事業年度が終わったら、ファイルごと保存してください

 

よくある質問

よくある質問を参考までにいくつか紹介いたします。

 Q.帳簿や領収書はどのくらい保存しないといけないの?

 A.会社法上、帳簿は10期分保存が必要です。法人税法上、帳簿と領収書は原則的に7期分保存が
  必要になります。
  税務調査が入ると最大7期前まで(通常は5期前までですが、脱税等が発覚した場合では7期前ま
  で)さかのぼられるかもしれないからです。 但し、9期前の繰越欠損(税金計算上での赤字)を利益
  と相殺させて税金を減らす場合には9期前の資料が必要になりますので、ご注意ください。
  書類や使途によって保存年数が違いますが、しっかりと保存をして万事に備えましょう。

 

 Q.振込みの場合、領収書は必要?

 A.特に無くても大丈夫です。
  内容(振り込んだ金額があってそれに対する請求書)がわかればOKです。

 

 Q.領収書や請求書にハンコはいるの?

 A.ハンコを押すのは義務ではありませんのでなくても大丈夫です。

 

 Q.請求書等がたまってきてるのですが、スキャンしてデータで保存してるから捨てても大丈夫?

 A.「電子帳簿保存法」というのがあります。が、これを適用するためには
   1.届出書を提出する必要があります。
   2.簡易式のスキャナーはダメなど決まりがあります。
    さらにタイムスタンプ(時間を証明するもの)+電子署名が条件となります。

まとめ

創業当初の社長の業務は多岐にわたることが多く、時間がいくらあっても足りないと思います。
資料整理は早く正確に会社の業績を把握するためにも必要な業務ではありますが、時間をかけて行う必要はありません。大量に資料がたまってからはじめると見るだけでもいやになるものです。
スタートからファイルやスクラップブックを活用し、ルーチン作業で行うようにしておけば資料整理自体に大きな時間はかかりません。
資料整理に時間をかけずに営業や社内管理などに時間を使うことでさらなる発展につなげていってほしいと思います。

今回の記事はFirstStepの赤木が担当させていただきました。

参考資料

記事と一緒にみていただきたいものをご紹介させていただきます。
領収書テンプレート 書き方?要件?必要?そもそも領収書って?
給与明細テンプレート!誰でも簡単に明細が作れるで