みなさん、こんにちは!
「経営者保証に関するガイドライン」聞いたことありますか?
平成26年2月1日から適用が開始したので今回の記事で初めて知った方も多いと思います。
簡単に説明すると、経営者自らが融資の保証人になる「経営者保証制度」を見直そうというものです。最初に創業時の融資についてお話ししてから、「経営者保証に関するガイドライン」について詳しく説明させていただきます。

 

  • そもそも創業時に融資って受けれるの?
  • 創業時に利用できる融資
  • 経営者保証に関するガイドラインとは?

 

 そもそも創業時に融資って受けれるの?

答えはYESです。
創業時は、信用も実績もありません。
そんな会社にお金を貸してくれるところなんてあるの?と不安に思っている方はたくさんいらっしゃると思います。
確かに経営リスクが高いので銀行からの直接融資は難しいですが、創業融資制度というものがあります。創業融資は、 政府の意向を受けて中小企業の資金調達支援に積極的に取り組んでいる日本政策金融公庫や、金融機関から融資を受ける際に、その債務を保証する信用保証協会で取り扱っています。

 

創業時に利用できる融資

 日本政策金融公庫

政府が平成25年度補正予算により、中小企業・小規模事業者向けの資金繰り支援の強化を発表し 、日本政策金融公庫における創業関連制度の拡充が決まりました。

新創業融資

創業後2期未満の方が申し込むことができる無担保、無保証の融資制度です。

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今までは、900万の融資を受けたければ、300万を自分で用意しなければならなかったのですが、
この改定で100万用意すると900万の融資を申し込むことが可能になりました。
さらに融資の対象に、海外展開資金が追加されました。

これだけ見るといままでより簡単に融資が受けれるように思えます。
しかし、日本政策金融公庫もボランティアでお金を貸しているわけではありません。
例えば、起業の為にコツコツと500万貯めた人と、起業したいけど100万しかお金がないから貸してください、という人がいたらあなたならどちらにお金を貸しますか。
やはり起業を考えるなら計画的に自己資金の確保に努めましょう!

 信用保証協会

信用保証協会は、中小企業が金融機関から融資を受ける際に、公的な保証人となり、 融資を受けやすくすることを通して、事業の発展を支援しています。
そのようなしくみを、信用保証制度といいます。
企業は、信用保証協会に対して保証料・金融機関に対して利息を支払うことになり、融資の際には、原則として代表者が連帯保証人になります。

詳しい融資の流れはこちらブログをご覧ください。
起業時に融資申し込む方必見!創業融資手続きの流れ

もし中小企業者が倒産等によって、その借入金の返済が不能となった場合は、金融機関は信用保証協会へ代位弁済の請求を行い、信用保証協会は、中小企業者に代ってその残債務を金融機関に支払います。これを代位弁済といいます。

その後協信用保証協会は、中小企業者(債務者)および連帯保証人等より回収を図ります。

現在、創業融資に限らず中小企業の経営者による個人保証については、思い切った事業展開や早期事業再生を阻害する要因となっているなどの問題があります。
その解決策としてつくられたのが「経営者保証に関するガイドライン」です。

 

 経営者保証に関するガイドラインとは?

融資を受ける際、個人保証なしで融資を受けることや、事業が破綻しても 一定の生活費等を残すことができるルールが中小企業庁と金融庁の関与の下、日本商工会議所と全国銀行協会によりつくられました。

それが「経営者保証に関するガイドライン」です。
平成26年2月1日より適用開始となっております。

適用対象

対象となる債務者

  • 個人事業主
  • 中小企業・小規模事業者
  • 中堅・大企業

対象となる保証人

  • 経営者
  • 実質的な経営権を有している者等
  • 一定の事業承継予定者
  • 協力者、支援者等いわゆる第三者

経営者の個人保証について

  1. 法人と個人が明確に分離されている場合などに、経営者の個人保証を求めないこと
  2. 多額の個人保証を行っていても、早期に事業再生や廃業を決断した際に一定の生活費等(従来の自由財産99万円に加え、年齢等に応じて約100万円~360万円)を残すことや、一定条件のもと「華美でない」自宅に住み続けられることなどを検討すること
  3. 保証債務の履行時に財産の評点の基準時において保有する全ての資産を処分換価して弁済を行ったのち、返済しきれない債務残額は原則として免除することなどが定められています
  4. 保証人たる経営者が「早期事業再生」を決断し、ガイドラインに基づき整理を申し出ると「一定基準日以降の収入は保証履行請求額に含まれない」などその後の事業継続に必要な資産を確保できる可能性が高まります
     ※ガイドラインの適用開始日以前に締結した保証契約も対象になります

保証人が自己破産をすると、官報に公示され、信用情報登録機関に登録されると、再度の借入が制限を 受けるなど、 再チャレンジが困難でしたが、自己破産を行わず、このガイドラインに基づいて保証債務の整理を行うことができれば信用情報の低下も抑えられ、再度のチャレンジを行いやすくなります。

適用開始日以前に締結した保証契約であっても 、ガイドラインで掲げられている要件を充足する場合には、適用開始日以降に既存の保証契約の見直しや保証 債務の整理を図る際、このガイドラインの適用を受けることとなります。

 

 中小企業等に求められる経営状況

  1. 事業上必要のない法人から経営者への貸付は行わない等、法人と経営者との関係を明確に区分・分離していること
  2. 好業績が続いており、借入の順調な返済が可能である等財務基盤の強化をはかっていること
  3. 決算報告に加え、定期的に試算表、資金繰り表を提出し、業況を報告する等経営の情報開示ができていること

経営者保証を求めないことによる信用リスク等の増大は、法人の社内管理体制の整備 等経営改善の状況や、法人の規模、事業内容、収益力等によって異なってくるため、そのリスクに見合った適切な金利が個別に設定されることとなります。
このガイドラインを適用した場合、金利が一定に上乗せされます。
日本政策金融公庫や、各金融機関も「経営者保証に関するガイドライン」への対応を発表しています。

 

創業融資と経営者保証に関するガイドラインまとめ

日本政策金融公庫の発表によると、創業融資実績は2年連続で大幅に増加し、女性、シニア、若者への融資についても平成25年度の融資実績が前年度比123%の8730企業と増加しています。
さらに中小企業の開業・小規模事業者の創業を促進するため、新創業融資制度の自己資本要件が大きく緩和されるなどこれから起業を考えている方にとっては追い風となっています。
ただ、融資に頼った起業は資金面で厳しくなりますので起業を考えるなら自己資金の確保に努め、事業を始める前にしっかりと資金計画を立てましょう!

ここで紹介した経営者保証に関するガイドラインは経営者保証に依存ぜず、中小企業の活力を引き出し、日本経済の活性化に資することを目的としています。
ただ法的拘束力はありません。中小企業の経営者側と金融機関側双方が自発的に尊重し、遵守することが期待されています。
まだ法律ではなくあくまでガイドラインですが、普及すればこれから起業しようとする人にも選択肢が広がります。また、一度失敗した事業者の再出発もしやすくなるでしょう。
今後、「経営者保証に関するガイドライン」の周知により、早期の事業再生の決断をすることができるようになるとすれば、それは大変望ましいことだと思います。
起業時のリスクも低くなりますので、融資をお考えの方は一度検討してみてはいかがでしょうか。

今回の記事はFirstStepの吉野が担当させていただきました。