今回は会社を作ろうと考えた時に、まず用意しなければならないお金の話です。
株式会社設立時の出資金(資本金)についてと出資割合に応じてどのような権利があり注意が必要なのかのお話をさせていただきます。

 

資本金の話

   (目次)

  ◇ 出資ってどういうこと?

  ◇ 議決権に応じての権利

  ◇ 複数人で出資の場合は注意

  ◇ 100%オーナー

出資ってどういうこと?

出資とは、事業の為に必要なお金を提供することです。
出資された資金を出資金、出資した人を出資者といいます。
会社設立後、出資金は、資本金。資本金にしなかった残りの部分は資本準備金になります。
株式会社の場合、出資することでその会社の株式を得ます。
この持ち株比率によって、株主の方には様々な権利が発生します。

 

議決権に応じての権利

持ち株数に応じて権利が異なる主な株主権をまとめると、次のとおりになります。

持株数
議決権割合
主 な 権 利 の 内 容
1株以上 書面による事前質問権・株主代表訴訟提起権(6ヶ月間継続保有要)・各種書類の閲覧・謄写請求権(定款、株式取扱規則、株主総会議事録、取締役会議事録、株主名簿、計算書類、監査報告書等)
3%以上 会計帳簿の閲覧謄写請求権・会社及び子会社の業務及び財産状況調査のための検査役選任請求権
3%以上を
6ヶ月間
株主総会招集請求権・取締役・監査役の解任請求権・整理申立権
10%以上 解散請求権
1/3超 重要事項の特別決議の阻止(拒否権発動)
1/2超 経営権の獲得・取締役・監査役の株主総会での選任決議・取締役・監査役の報酬額の株主総会決議・計算書類の株主総会承認・会計監査人の選任に関する決議・取締役・監査役解任権
2/3以上 定款変更決議等の特別決議の成立・持株割合を変化させる事項(新株・転換社債等の有利発行)・会社の内容を変えてしまう重要事項(減資・合併・定款変更・営業譲渡・会社の解散・株式交換・株式移転・会社分割)

複数人で出資の場合は注意

会社を設立する時に、少しでも多くの資金を集める為に第三者の方に出資を仰ぐ事があります。
株式会社では、出資して頂いた代わりに自社の株式を渡します。

ここで注意が必要です。
経営者の方よりも、第三者の方が多くの議決権を保有してしまうと大変なことになります。
株式会社においては、議決権を多く持つ方が権利を持ちます。

代表取締役として会社の全責任を負う立場にあったとしても、もってる株式の議決権が50%未満であれば、自分以外の意思で代表取締役を解任できるということになってしまうのです。

なので、経営陣以外に出資をお願いする場合でも、
代表者の方は、出来れば2/3以上の議決権を保有しておいた方が無難です。
2/3以上を保有していますと、株主総会の特別決議を単独で成立させることが出来ます。
※定款でこれを上回る割合を定めている場合はその割合です。

それが難しい場合は、最低でも1/2超の議決権は保有して下さい。

1/2超を保有していますと、株主総会の普通決議を単独で成立させることが出来ます。
つまり、取締役をいつでも解任することができます。
会社の全責任を負う代表取締役が、1/2超保有していないと、いつでも解任させられるリスクを負って経営する必要があるのです。
怖いですよね。そうならない為にも、1/2超の議決権は保有して下さい。

もし、1/2超の議決権を保有する出資金を用意できない場合は、個人での借入や資本金を下げる等も検討して下さい。

100%オーナーとは

経営者の方が、全ての議決権を保有している事です。
こうなれば、会社の全ては自分の思い通りに決めることが出来ます。

2006年5月から施行された「会社法」により、最低資本金規制が撤廃されました。
資本金1円からでも会社は設立できます。
しかし、実際に設立後のことを考えると、1円で会社を作るには問題がありますが、
会社経営に必要な資本金を考え、自身で用意できる額に設定し、100%オーナーになる。
経営者の方にとって、一番理想の形ではないでしょうか。

資本金の決め方については、会社設立時の資本金の決め方?資本金を決める時に考える5つの事をご参照下さい。

出資金の割合について、少しはお分かり頂けましたでしょうか。
会社設立となると、色々と分からないことが多いと思います。
弊社では、会社設立の無料相談も行っておりますので、設立をお考えの方は是非一度ご相談下さい。